走る理由とは

助川 拓海

“何で走っているの?”

 

陸上を続けていると、こう問いかけられることが多々あります。

私自身も自問自答することが良くありました。

恩師や家族へ恩返しをするため、期待に応えるため、自身の夢のため、自己承認欲を満たすため。はたまた、お金を稼ぐため。

理由は人それぞれです。

 

“助川は何を理由に走っているのだろう?”

 

私のブログを読んでくださる方は、そう疑問が浮かんだと思います。

今までは、「母への恩返しと応援してくれる人たちの期待に応えるために走っている」と思っていました。

実は最近、自分の素直な想いに気づき、答えが変わりました。

 

“ブログのテーマにしているのだろ?いちいち説明する必要があるか。”

 

と思った方。まぁまぁ、そう焦らないで。

答えにたどり着いた経緯を、ここ数カ月の近況報告も添えて綴りました。

少し長くなりますが、どうか最後までお付き合いください。

 

 

1つの疑問】

 

自慢ですが、私はかなり恵まれています。

 

北九州は自然がとても豊かなため、同じコースのjog(練習)でも、季節の移り変わりを目にすることができます。

最近は葉が色づき始め、景色が1年で最も華やかです。

寮にはトレーニングルーム、高・低酸素室、超音波治療器が設備されています。

更に、平日朝夕は栄養管理された食事も用意されています。

 

いつかのブログでも紹介したように、安川電機陸上部は日本一仲の良いチームです。

単に仲良し組織というわけでなく、切磋琢磨しながら競技に打ち込める自慢のチームです。

 

休日、ふらっと行きつけのお店へ立ち寄れば(※)、「最近調子どう?元気かい?」と気にかけてくる人もたくさんいます。

※お店についてはお勧めしたい場所がありすぎるので省略。どうしても気になる方はDMを送っていただければお答えします!

 

ね?恵まれているでしょう?

競技に打ち込むための外的要因は揃っています。

 

“それで頑張れないの?”

そう疑問に思った方は多いと思います。

 

私も同じ疑問を持っていました。

特に、この時の私は「母への恩返しと応援してくれる人たちの期待に応えるため」が走る動機と思っていました。

 

その中、今年の夏。

「どうして苦しい時に頑張れない。どうして走れない。」

そんな自問自答を繰り返していました。

 

 

【自分はなぜ走っているのか】

 

「もう疲れた。」

長い堂々巡りと、繰り返す故障の末、私は走ることを止めました。

 

どこかで話した気がしますが、ここ数年走るときは常に痛み・違和感があります。

「今日も痛いよな どう走ったら痛みが出ないのだろう」

根本を改善するため、トレーニングも取り入れましたが、即効性があるわけではありません。

「きっと良くなる 継続すれば絶対走れてくる」

どれだけ努力を継続しても、ベクトルが間違っていれば成果は出ません。だからといって、その努力が意味を成すのか否か、それは誰もわかりません。

淡い期待もむなしく、改善されない課題。

心身共に摩耗していく一方でした。

 

いつだったかは覚えていません。

走る理由を追及し始め、ついには考えることも嫌になりました。

 

「もう疲れた。」と。

 

 

【すべての原因ときっかけ】

 

10月某日

中本監督に勧められ、とある治療院へ行きました。

監督がマラソンに挑戦する前からお世話になった場所だと聞いていましたが、今までなんとなく気が向きませんでした。

正直なところ、最初は感情も期待もなく、勧められたし行かない理由もないし….くらいの熱量でした。

 

 

「骨盤が左右で約2㎝ずれているね。この状態じゃ頑張っても走れないよ。」

初めての施術時、既往歴と走っている時の感覚を伝えた先生からの一言が衝撃的でした。

簡潔に説明すると、元のアライメント(※)が不良のため、どれだけ手を加えても改善はされません。※体のバランスのこと

例えですが、土壌の状態が悪い畑では、どれだけ栄養を与えようと作物が十分に育たないのと一緒です。

 

あげればきりがないほど、すべての悩みの原因に当てはまりました。

それだけでなく、通い始めて1週間で劇的な変化もありました。

(ここら辺の話は専門的過ぎるのと、長くなりすぎるので割愛します)

 

期待も感情もなく通い始めたのが噓のように、復帰初期は毎日のように通いました。

気づけば進んでパーソナルトレーニングも依頼していました。

 

何が私を変えたのか。ただただ「楽しかった」のです。

 

その楽しさが次第に「欲」へと変わっていきました。

「走りたい。早く走りたい。」

 

そこからの復帰は驚くほど早く、10月下旬には外でのjogを再開していました。

 

痛みへの不安や恐怖も忘れていました。

 

 

【原点】

 

今の練習中の心境ですが、

「やばい、走るの楽しすぎる。」

「肺がきつくなるこの感じ。たまらん。」

と思っています。

変な人ですよね….(笑)

 

「ああ。自分って走ることが好きなのだな。」

中学生ぶりかもしれません。純粋に走ることが楽しいと思えました。

 

楽しく走るためと思うと、それまで疎かにしていた準備や細部までこだわるようになりました。

 

現在も、かなり順調に復帰計画が進んでいます。

つい先日も7月ぶりに距離走に復帰してきました。練習前後であんなにワクワクしたのは初めてかもしれません。

 

あとがき

 

「走ることが好きで、楽しくて陸上を続けている」

と認識できた今でも、応援してくださる皆さまの想いや期待に応えたい気持ちは変わりません。1番でなくても、私の原動力として欠かせない部分です。

 

ブログの途中に、「私は恵まれています」と綴りましたが、箱根以来全く走っていない私を未だ応援してくださる皆さまの存在が何より嬉しいです。

 

「今すぐ結果を出して応えたい!!!」

これが素直な気持ちですが、なにせデリケートな人間です。

気合を入れ過ぎると、すぐ体調崩すので、私のスタイルらしくコツコツやっていきます。(笑)

 

どうかこれからも、変わらぬ応援をよろしくお願いいたします。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

助川 拓海 TAKUMI SUKEGAWA

2000年04月02日生まれ

茨城県笠間市出身

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